育休中に確定申告が必要なケース・不要なケース
育休(育児休業)中は収入が大きく減るため、「確定申告って必要なの?」と疑問に思う方は多いと思います。まず大前提として、育児休業給付金は非課税です。雇用保険から支給される給付金なので、所得税の対象にはなりません。
確定申告が不要なケースは以下のとおりです。
- 育休中に収入がまったくなく、源泉徴収もされていない
- 年末調整で税務処理が完結している(育休前の給与のみで過不足なし)
一方、確定申告をしたほうが得なケース(還付が見込まれるケース)があります。
- 育休前の給与から所得税が源泉徴収されており、年の途中から育休に入った
- 医療費が年間10万円を超えた(医療費控除の適用)
- 住宅ローン控除を受けている
- ふるさと納税をワンストップ特例以外で行った
確定申告が「必要」かどうかと、「したほうが得」かどうかは別の話です。義務ではなくても、申告することで税金が戻ってくるケースがあるため、育休中こそ積極的に検討してみてください。
育休中に還付を受けられる理由|源泉徴収のしすぎが起きやすい
会社員は毎月の給与から所得税が源泉徴収されています。この金額は「今の月収が1年間続く」という前提で計算されているため、年の途中で育休に入って収入がゼロ(または激減)した場合、実際の年収に対して源泉徴収されすぎていることになります。
たとえば、年収480万円(月40万円相当)の方が6月から育休に入り、1〜5月の5ヶ月間だけ給与を受け取った場合、その5ヶ月間の源泉徴収額は「年収480万円ベース」で計算されています。しかし実際の年収は5ヶ月分の約200万円程度になるため、税率が下がり、払い過ぎた税金が戻ってくる可能性があります。
妻の場合は2026年6月から育休に入る予定なので、1〜5月の5ヶ月間分の給与に対して源泉徴収がかかっています。育休に入ったあとで年末調整または確定申告をすることで、所得税の還付が受けられる可能性があります。
育休中に確定申告で還付を受けられる主なケース
① 医療費控除
出産にかかった費用のうち、医療費控除の対象となるものが年間10万円を超える場合は確定申告で控除を受けられます。対象となる主な費用は以下のとおりです。
- 分娩費用(出産育児一時金を差し引いた自己負担分)
- 入院費用(差額ベッド代は除く)
- 妊婦健診費用(健診の一部は対象外のものもあり)
- 産後ケア施設の費用(自治体補助を差し引いた額の一部)
ただし、出産育児一時金(現在は原則50万円)は補填金として支給額を差し引いて計算します。医療費が10万円を超えていても、一時金でカバーされていれば控除対象にならない場合があります。レシートや領収書はしっかり保管しておきましょう。
② 住宅ローン控除
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高に応じて税額控除が受けられる制度です。育休中でも、育休前の給与に対して発生した所得税があれば控除の対象になります。
私たちは4,950万円のローンを組んでおり、住宅ローン控除は申告済みです。2年目以降は年末調整で処理できますが、妻が育休に入ることで年末調整の計算が複雑になる場合があります。確定申告をすることで、控除が正しく反映されているか確認することをおすすめします。
なお、育休中に所得税がほとんどゼロになった場合、ローン控除の枠が使い切れないことがあります。その年の所得税がなければ控除も受けられないため、育休初年度は還付額が少なくなる可能性があります。
③ ふるさと納税
ふるさと納税をワンストップ特例制度で申請した場合は確定申告不要ですが、確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になります(代わりに確定申告内で寄附金控除として申告します)。医療費控除など他の申告と一緒にふるさと納税も申告する場合は、確定申告でまとめて行う必要があります。
育休中の配偶者控除・配偶者特別控除の活用
育休中の妻の収入(給与のみ)が一定額以下の場合、夫が妻を扶養に入れて配偶者控除または配偶者特別控除を申告できます。
目安となる収入の基準(2026年時点の制度を前提としていますが、税制は変更の可能性があります)は以下のとおりです。
- 妻の年収が103万円以下→ 配偶者控除(控除額38万円)
- 妻の年収が103万円超〜201万円以下→ 配偶者特別控除(段階的に控除額が減少)
育児休業給付金は非課税のため収入にはカウントされません。給与のみで判断します。妻が1〜5月分の給与(仮に月30万×5ヶ月=150万円)を受け取っていた場合、103万円を超えるため配偶者控除は受けられませんが、配偶者特別控除の対象になる場合があります。
正確な判断には妻の年収額を確認し、税務署や税理士に相談するか、e-Taxのシミュレーションで確認することをおすすめします。
確定申告の手順|e-Tax・郵送どちらがおすすめ?
e-Taxを使ったオンライン申告
確定申告はe-Taxを使えば自宅から申告できます。育休中で外出が難しい時期でも対応できるため、特におすすめです。手順は以下のとおりです。
- マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)を準備する
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
- 源泉徴収票・医療費の領収書(または医療費控除の明細書)・住宅ローンの年末残高証明書などを手元に用意する
- 画面の指示に従って入力し、マイナンバーカードで電子署名して送信する
申告期間は例年2月16日〜3月15日ですが、還付申告(税金を取り戻す申告)は1月1日から5年間いつでも申告できます。焦らず準備して申告しましょう。
郵送での申告
e-Taxが難しい場合は、国税庁のサイトで申告書を作成・印刷して税務署に郵送することもできます。確定申告書A(現在は申告書が統合されているため最新の書式を確認してください)と必要書類を同封して送付します。
育休中のふるさと納税の注意点|上限額が大幅に下がる
ふるさと納税の上限額は、その年の課税所得(収入から所得控除を引いた金額)によって決まります。育休で収入が激減した年は、上限額が通常より大幅に低くなる点に注意が必要です。
通常の年収450万円(手取り30万円/月)の妻の場合、ふるさと納税の上限額は5〜6万円程度が目安です。しかし1〜5月の5ヶ月間だけ給与を受け取った育休年は、年収が150万円前後になるため上限額は数千円〜1万円程度まで下がる可能性があります。
上限額を超えた分は自己負担になってしまうため、育休が始まる前に当年の見込み収入をシミュレーションして、ふるさと納税の金額を調整することを強くおすすめします。「ふるさとチョイス」や「さとふる」などの上限額シミュレーターが使いやすいです。
なお、育休中のふるさと納税についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
私の場合:育休中の確定申告を調べた話
私の場合、妻が2026年4月から育休に入り、年途中で収入が大幅に変わりました。育休給付金は非課税なので源泉徴収されませんが、育休前の給与収入に対して年末調整・確定申告が必要なケースがあります。実際に調べたところ、育休中に医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例未使用の場合)がある場合は確定申告で還付が受けられることがわかりました。
我が家では妻の育休年の収入が下がるため、ふるさと納税の上限額を再計算し直す必要があります。正直、育休中の税金は複雑で、会社任せにしていると損をするケースがあるため早めに確認することをおすすめします。
まとめ・育休確定申告チェックリスト
育休中に確定申告を検討すべきかどうかを、以下のチェックリストで確認してみてください。
- ✅ 育休前に給与を受け取っており、源泉徴収があった
- ✅ 出産・妊娠にかかった医療費が10万円を超えた(自己負担ベース)
- ✅ 住宅ローン控除を受けており、育休年の所得税に還付余地がある
- ✅ ふるさと納税をワンストップ以外で行った、または医療費控除と同時申告する
- ✅ 妻の年収が201万円以下で、夫の配偶者特別控除を申告していない
一つでも当てはまる場合は、確定申告によって税金の還付を受けられる可能性があります。準備するものは源泉徴収票・医療費の領収書・住宅ローンの残高証明書など、年末〜年明けにかけて揃ってきます。マイナンバーカードがあればe-Taxでスムーズに申告できます。
育休中は収入が減り、家計の見直しをしている方も多いと思います。確定申告で戻ってくる税金は数千円〜数万円になることもあります。手間はかかりますが、しっかり申告して育児費用に充てられるようにしましょう。
※本記事の内容は2026年4月時点の情報をもとにしています。税制・制度は変更になる可能性があります。具体的な金額や申告方法については、国税庁のウェブサイトや税務署にご確認ください。本記事は税務上のアドバイスを提供するものではありません。
参考情報
【免責事項】本記事は個人の体験・調査に基づく情報提供を目的としており、特定の商品・サービスへの投資・契約を勧めるものではありません。制度・税率・サービス内容は変更される場合がありますので、最新情報は公式サイトや専門家にご確認ください。


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