NISAは始めているのにiDeCoを後回しにしていた理由
私はNISA(つみたて投資枠)を夫婦で活用していますが、iDeCoについては「なんとなく複雑そう」「60歳まで引き出せないのが怖い」という印象を持ったまま、ずっと後回しにしていました。
しかし、6月に第一子が誕生予定で家計を本気で見直しているなかで、iDeCoの節税効果を実際に数字で計算してみると、その威力に正直驚きました。この記事では、会社員が知っておくべきiDeCoの仕組みと、年収別・掛金別の節税額シミュレーションをわかりやすくまとめます。
iDeCoの節税効果の仕組みをおさらい
iDeCo(個人型確定拠出年金)の最大の魅力は、掛金の全額が「所得控除」の対象になる点です。所得控除とは、課税対象となる所得から一定額を差し引くことができる仕組みで、結果として所得税と住民税が減ります。
節税の計算式
節税額の基本的な計算式は以下のとおりです。
- 年間節税額 = 年間掛金 × (所得税率 + 住民税率10%)
住民税率は一律10%ですが、所得税率は課税所得に応じて5〜45%と幅があります。年収が高いほど所得税率も高くなるため、iDeCoの節税効果はより大きくなります。
会社員(第2号被保険者)の掛金上限
会社員がiDeCoで拠出できる掛金の上限は、勤め先の企業年金の有無によって異なります。
- 企業年金なし:月額2万3,000円(年間27万6,000円)
- 企業型DCのみ加入:月額2万円(年間24万円)
- DB(確定給付年金)加入:月額1万2,000円(年間14万4,000円)
多くの会社員は「企業年金なし」か「企業型DCのみ」に該当するケースが多く、月2万〜2万3,000円が上限の目安です。
年収別・掛金別の節税シミュレーション
以下の表は、会社員が毎月一定額をiDeCoに拠出した場合の年間節税額の目安です。所得税率は給与収入から給与所得控除・基礎控除などを差し引いた「課税所得」に基づいています。
掛金:月1万2,000円(年間14万4,000円)の場合
| 給与年収の目安 | 所得税率(目安) | 年間節税額の目安 | 月換算 |
|---|---|---|---|
| 400〜500万円 | 10% | 約2万8,800円 | 約2,400円 |
| 500〜600万円 | 20% | 約4万3,200円 | 約3,600円 |
| 600〜800万円 | 20% | 約4万3,200円 | 約3,600円 |
| 800〜1,000万円 | 33% | 約6万2,000円 | 約5,200円 |
掛金:月2万3,000円(年間27万6,000円)の場合
| 給与年収の目安 | 所得税率(目安) | 年間節税額の目安 | 月換算 |
|---|---|---|---|
| 400〜500万円 | 10% | 約5万5,200円 | 約4,600円 |
| 500〜600万円 | 20% | 約8万2,800円 | 約6,900円 |
| 600〜800万円 | 20% | 約8万2,800円 | 約6,900円 |
| 800〜1,000万円 | 33% | 約11万9,000円 | 約9,900円 |
※上記はあくまで目安であり、社会保険料控除・配偶者控除などの各種控除の状況により実際の節税額は異なります。正確な金額は、国税庁のシミュレーションツールや税理士にご確認ください。
私の場合で試算してみた
私(29歳・横浜在住・会社員)の場合、給与年収はおよそ500〜600万円の範囲に入ります。仮に企業年金がなく月2万3,000円を拠出するとすると、年間で約8万円前後の節税効果が見込めます(個人差あり)。月換算で約6,900円の節税というのは、家計の固定費を見直す感覚で考えると、かなりインパクトがあると感じました。
さらに、iDeCo口座内の運用益は非課税なので、長期で積み立てるほどNISAと同様の複利効果も期待できます。
出口課税(受け取り時の税金)の注意点
iDeCoの節税効果は「積み立てフェーズ」だけの話ではありません。受け取り方によっては、課税が発生する点に注意が必要です。
一時金として受け取る場合
退職所得控除が適用されます。勤続年数が長いほど控除額が大きくなり、多くの場合は税負担が比較的少なく済む傾向があります。ただし、会社の退職金と同じ年に受け取る場合は控除の枠が重なるため、受け取りのタイミングに注意が必要です。
年金として受け取る場合
公的年金等控除が適用されます。他の収入との合算で課税される場合があるため、定年後の収入状況を踏まえてシミュレーションしておくことをおすすめします。
節税メリットが大きい一方で、60歳まで引き出せない点と出口課税の仕組みを事前に理解しておくことが重要です。
NISAとiDeCo、どちらを優先すべきか?
NISAとiDeCoは目的が異なるため、どちらか一方ではなく「組み合わせて使う」のが基本的な考え方です。
- NISA:いつでも引き出せる。投資の自由度が高い。資産形成全般に活用しやすい。
- iDeCo:60歳まで引き出せない。その代わりに「掛金の全額所得控除」という強力な節税効果がある。
優先順位の考え方としては、以下のような流れが参考になります。
- まず緊急予備費(生活費3〜6ヶ月分)を確保する
- NISA(つみたて投資枠)で毎月の積み立てを開始する
- 家計に余裕があればiDeCoを追加し、節税しながら老後資産を積み立てる
私はNISAを夫婦でそれぞれ活用していますが、iDeCoはまだ未着手です。60歳まで引き出せない制約が気になっていましたが、節税効果を数字で確認したことで「老後資金専用の枠」と割り切って始める価値があると感じています。
育休中はiDeCoをどう扱う?
産前産後休業・育児休業中もiDeCoは継続できますが、いくつか注意点があります。
- 掛金の拠出は継続できる:育休中も毎月の拠出を続けることは可能です。
- 節税効果が薄れる可能性がある:育休中は給与が大幅に減少するため、所得控除の節税効果も相対的に小さくなります。育休給付金は非課税のため、iDeCoの所得控除の恩恵が受けにくい状況になります。
- 掛金の停止・減額も可能:家計が苦しい場合は、掛金を最低額(月5,000円)まで引き下げるか、一時的に拠出を停止することもできます。
我が家は妻が2026年6月から育休取得予定です。育休期間中の家計への影響を考えると、妻のiDeCo加入は育休復帰後のタイミングで検討するのが現実的かもしれません。
iDeCoを始める前に確認しておくこと
- 勤め先に企業年金(DB・企業型DC)があるかどうか
- 会社のルール上、iDeCo加入に事業主証明が必要かどうか(※2022年の法改正で不要になった)
- 掛金の上限額を確認する
- 金融機関の選び方(手数料の安さ・商品ラインナップで比較)
- 受け取り方のシミュレーションをしておく
まとめ
iDeCoは「60歳まで引き出せない」というデメリットがある一方で、掛金の全額が所得控除になる強力な節税効果があります。特に年収500万円以上の会社員であれば、月2万3,000円の拠出で年間8〜12万円前後の節税が期待できる場合があります(個人差あり)。
NISAを活用しながらも、老後資金の枠としてiDeCoを組み合わせることで、資産形成の効率を高められる可能性があります。節税効果を最大限に活かしながら、無理のない掛金設定でコツコツと積み立てていきましょう。
参考情報
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品・税務・投資の勧誘を目的とするものではありません。iDeCoや税制の内容は法改正等により変更される場合があります。具体的な掛金額・節税額・受取方法については、金融機関や税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談のうえ、ご自身の判断でお決めください。投資には元本割れのリスクがあります。


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