教育費の積立、どの方法が正解?まずは選択肢を整理しよう
「子どものために教育費を積み立てたいけど、学資保険・NISA・定期預金のどれを使えばいいの?」――これは、子育て世代の多くの方が悩む問いではないでしょうか。それぞれ特徴が異なるため、一概に「これが正解」とは言えません。
本記事では、学資保険・NISA・定期預金の3つの方法を多角的に比較し、それぞれのメリット・デメリット、向いているケースをわかりやすく解説します。
教育費の目安:いくら準備すれば安心?
積立方法を比較する前に、まず「いくら準備すべきか」を確認しておきましょう。文部科学省のデータ等をもとにした、子ども一人あたりの教育費の目安は以下のとおりです。
- 幼稚園〜高校(すべて公立):約590万円
- 幼稚園〜高校(すべて私立):約1,900万円
- 大学(国公立・自宅通学):約240万円
- 大学(私立文系・自宅通学):約400万円前後
- 大学(私立理系・自宅通学):約550万円前後
すべて公立・国公立ルートでも総額は800〜1,000万円前後。私立中心なら2,000万円超になることもあります。一度に用意する必要はありませんが、特に高校〜大学の時期(子どもが15〜22歳ごろ)に集中して支出が発生するため、計画的な積立が重要です。
【比較①】学資保険
学資保険の仕組み
学資保険は、毎月一定の保険料を払い込み、子どもの進学のタイミング(18歳など)に合わせて満期金が受け取れる保険商品です。保険会社によっては、小学校・中学校・高校など複数回に分けて受け取れるタイプもあります。
学資保険のメリット
- 元本割れリスクがほぼない:満期まで継続すれば、払い込んだ保険料を上回る金額(返戻率100%超)が多い
- 保険機能がある:契約者(親)が死亡・高度障害になった場合、以降の保険料が免除され、満期金を満額受け取れる保障がある
- 強制貯蓄効果がある:自動的に引き落とされるため、意志の力に頼らず積み立てられる
- 保険料控除が使える:一般生命保険料控除の対象となり、年末調整・確定申告で節税効果がある
学資保険のデメリット
- 返戻率が低い:現在の主要商品の返戻率は100〜110%程度。インフレが進めば実質的な価値が目減りするリスクがある
- 途中解約すると元本割れ:急な出費や家計の変化で途中解約すると、払い込んだ保険料より少ない金額しか戻らない
- インフレに弱い:受け取り金額が固定のため、物価上昇に対応しにくい
- 子どもの年齢制限がある:多くの商品は子どもが0〜5歳の時期にしか加入できない
こんな人に向いている
- 元本保証を重視したい方
- 親に生命保険がなく、死亡保障も兼ねたい方
- 運用の手間をかけたくない方
【比較②】NISA(少額投資非課税制度)
NISAの仕組み
NISAは、投資信託や株式などの運用益が非課税になる制度です。2024年からスタートした新NISAでは、年間最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)まで非課税で投資でき、生涯非課税限度額は1,800万円となっています。教育費の積立にNISAを活用するケースが増えているのは、この非課税メリットと柔軟な引き出しやすさが理由です。
NISAのメリット
- 運用益が非課税:通常は利益の約20%が課税されますが、NISA口座では非課税。長期間積み立てると差が大きくなります
- いつでも引き出せる:学資保険と異なり、必要なときに自由に売却・引き出しが可能。急な出費にも対応できる
- インフレに強い:投資信託(全世界株など)で運用することで、物価上昇に対応できる可能性がある
- 長期運用で複利効果が期待できる:18年という時間軸があれば、複利効果による資産増加が期待できる
NISAのデメリット
- 元本保証がない:投資信託・株式は価格が変動します。必要な時期に値下がりしていると、想定より少ない金額しか準備できない可能性がある
- 自己管理が必要:積立設定・ファンド選択・引き出しタイミングなど、ある程度自分で判断する必要がある
- 短期・直前の積立には不向き:子どもが10歳を超えてから始める場合、運用期間が短くなりリスクが高まる
こんな人に向いている
- 子どもが生まれたばかりで18年以上の積立期間がある方
- 投資リスクをある程度許容できる方
- インフレ対策を意識したい方
- NISAを既に活用しており、教育費枠として追加で積み立てたい方
【比較③】定期預金
定期預金の仕組み
定期預金は、銀行に一定期間お金を預け、普通預金より高い利息を受け取る方法です。子どもの教育費として「絶対に減らしたくないお金」を安全に保管する手段として使われます。
定期預金のメリット
- 元本保証がある:預金保険制度(1,000万円まで)の範囲内であれば、銀行が破綻しても元本は保護される
- リスクがない:市場変動の影響を受けないため、精神的な安心感がある
- シンプルでわかりやすい:口座を開設して入金するだけで、特別な知識が不要
定期預金のデメリット
- 金利が低い:2026年時点でも定期預金の金利は0.1〜0.3%程度(金融機関によって異なります)と、インフレに追いつかないケースが多い
- インフレに弱い:物価が上昇する局面では、実質的な購買力が目減りするリスクがある
- 運用益が少ない:長期間積み立てても、NISAに比べると最終的な手取り額が少なくなりやすい
こんな人に向いている
- 絶対に元本を減らしたくない方
- 子どもの年齢が上がり、使う時期が近い方(5年以内など)
- まとまった金額を「使うまでの一時保管」として置いておきたい方
3つの方法を一目で比較
- 元本保証:学資保険◎ / NISA✕ / 定期預金◎
- 運用益・リターン期待:学資保険△(低め) / NISA◎ / 定期預金✕(ほぼなし)
- インフレ対応:学資保険△ / NISA◎ / 定期預金✕
- 途中引き出し:学資保険✕(元本割れリスク) / NISA◎(いつでも可) / 定期預金△(解約ペナルティあり)
- 死亡保障機能:学資保険◎ / NISA✕ / 定期預金✕
- 手間・管理コスト:学資保険◎(ほぼ不要) / NISA△(自己管理必要) / 定期預金◎(ほぼ不要)
私の場合:29歳・第一子誕生前にどう考えているか
2026年6月に第一子(女の子)が生まれる予定の私の場合、現時点での考えを正直にお伝えします。
まず、学資保険については今のところ見送り気味です。返戻率が105〜107%程度のものが多く、18年という期間を考えると、NISAで運用した場合と比べて期待リターンが見劣りするためです。また、死亡保障については別途生命保険の検討を進めているので、学資保険に保障機能を求める必要もないと判断しています。
メインの方針としては、NISA(つみたて投資枠)で月1〜2万円を教育費用の積立として確保することを考えています。現在夫婦でNISAを運用しており、全世界株式型の投資信託を中心に積み立てています。18年という長い時間軸があるので、多少の値動きには耐えられると考えています。
一方で、「絶対に使う」とわかっているお金(出産後すぐに必要な費用など)については、定期預金や高金利の普通預金に置いておく使い方をしています。元本割れリスクのある投資には回さないというのが基本的な考え方です。
組み合わせ戦略:3つを使い分ける考え方
実際には、「どれか一つを選ぶ」のではなく、それぞれの特性を活かして組み合わせるのが現実的です。たとえば以下のような考え方があります。
- 長期積立(18年〜10年):NISAでインフレ対応しながら積み立て。全世界株式型投資信託が選択肢の一つ
- 中期保管(5〜10年):ある程度まとまったら定期預金や高金利口座に移し、元本を守りながら保管
- 死亡保障・強制積立:生命保険が未加入なら、学資保険で保障と積立を兼ねる選択もあり
子どもの年齢が上がるにつれて、リスクをとった運用から安全な保管へと段階的に移行していく「グライドパス」の考え方も有効です。子どもが小さいうちはNISAで積極運用、中学生以降は徐々に定期預金へ移す、というイメージです。
まとめ:積立方法の選び方のポイント
- 子どもがまだ小さく、18年の時間軸があるならNISAが有力な選択肢
- 元本を絶対に守りたい・手間をかけたくないなら学資保険や定期預金
- 生命保険が未加入なら、学資保険で死亡保障も兼ねる考え方も有効
- 完璧な一択を探すより、組み合わせて使うことで互いの弱点を補える
- どの方法を選ぶにせよ、早く始めることが最大の武器になる
教育費の積立は、家庭の収入・支出・リスク許容度・保険の加入状況によって最適解が異なります。本記事の内容を参考に、ご自身の状況に合った方法を検討してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品・投資方法を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。学資保険・NISA・定期預金等の金融商品への加入・投資判断は、ご自身の責任のもと、必要に応じてファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談のうえ行ってください。また、税制・制度の内容は変更される場合がありますので、最新情報を各公的機関・金融機関にてご確認ください。


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